時折「木板」と書かれているのを見かけますが、何と読むかご存知でしょうか。
インターネットで検索してみると、「いた」「きいた」「もくばん」「もくはん」「もっばん」と、複数の意味と複数の読み方があるようです。
Google で検索しても なかなか出てこないんですが、「いた」と ルビ(ふりがな) を振る小説や漫画などもあるみたいです。
ということで、木の板 という意味における「木坂」の読み方を考えてみました。
はじめに
いきなりなんですが、そもそも「木板」の読み方に正解なんてあるのでしょうか。
立場や職業、方言なんかで読み方が違うかもしれません。
念のため断っておきますが、私は学者でも何でもないし専門外のサラリーマンですので、当記事のことは参考程度として考えて頂けたら宜しいとか思います。
木板 = いた ?
木の板は 大昔から「いた」 です。
木でない板を単に「いた」と呼ぶのを聞いたことはないと思います。
「いた」と呼ぶとしても「鉄の板」「プラスチックの板」「アクリルの板」と言うように、間に「の」が付きますよね。
そもそも 板 という字には 木へん が付いてますから、更に 木 を加えた 木板 は不自然さがあります。
文明の進化で、色んな素材の 板 が出回るようになり、板 の一文字だけでは素材がわからなくなってきたので、混乱を避けるために「木板」と表すようになったのだろうと思われます。
便宜上「木」という字をただ添えているだけでしょうから、べつに「木」まで読まなくていいと思いますし、そのようにルビを振る小説もあります。
木板 = Wooden board
そもそも「木板」という言葉が、英語の Wooden board から直訳されてできた言葉の可能性があるかもしれないと思っています。
「’board’ が ‘板’ だから、’Wooden board’ は ‘木板’ だな!」みたいな感じで。
「木板」という言葉が実際いつから使われているのかは知りませんが、「鉄板」と「木板」を使い分けるような技術が伝わってきた時に「木板」と書き始めたのではないか、なんて想像しています。
木板 = きいた ?
「きいた」なんて きいた ことがありません。
goo の 国語辞書 にも載ってませんし、Windows 10 搭載 の Microsoft IME では「きいた」を「木板」に漢字変換できません。
知恵袋みたいなサイトで「きいた」と返答している人が多いのですが、恐らくは検索上位になっている Weblio のページを読んだ人たちが回答しているのだろう、と感じがします。
ふむ、Weblio の「日本語表現辞典」ですか。「日本語表現」と言われれば、なくもないですかね。
んー、もしかしてどこかの業界の専門用語でしょうか?
木板 = もくいた ?
「もくいた」で「木板」に漢字変換はできるのですが、音読み と 訓読み が混ざっていますので、間違った読み方である可能性が高いです。
ただし、「もくいた」で変換すると一発で変換できるので、パソコンで入力する時には良いかも知れません。
(少なくとも Windows 搭載 の Microsoft IME においては。)
木の板 = きのいた ?
「きいた」よりは「きのいた」の方が確実に伝わる言い方です。
昔から日本では「の」と書いてないのに、間に入れて読むことがありますよね。
例えば大昔の人ですが、人名で「中臣鎌足」は「なかとみ の かまたり」と読みます。
また、現代でも、「木下」と書いて「きのした」と読むように、「の」が間に入る苗字があります。
ですので、「木下」と同じように「木板」にも「の」を入れて「き の いた」読んだら、相手も聞きやすいし、確実に伝わるので、「きいた」よりは断然良いと思います。
木板 = もくばん ?
「石板」「鉄板」「プラ版」「アクリル板」ときたら、やはり「木板」は「もくばん」でしょうか。
工業でも芸術でも色んな素材の板を扱う方たちには、単に「いた」では通じないかも知れませんね。
読み方の候補の中で最も否定材料の少ない読み方です。
木板 = もくはん ?
「もくはん」は印刷を行うために字や絵を彫った板のことです。
「木版画」とは別ですね。
木の板という意味ではありませんので、ハズレです。
木板 = もっばん ?
仏教寺院の法具のひとつです。
Mobban であって
Moppan ではないようです。
なんだか言いづらそうですね。
木の板という意味ではありませんので、ハズレです。
私の結論
一般の会話なら「木板」は「いた」と読み、少し丁寧に話すなら「きのいた」と読むのが自然で良いと思います。
色々な素材の板を扱う業種や環境では「もくばん」と呼ぶのが便宜的に良さそうです。
なお、パソコンで「木板」と入力する時は「もくいた」が楽です。
「き」と「いた」だと2回変換するので面倒ですし、「きのいた」だと一文字消さなければならないので面倒です。
(入力の解決策としては “単語の登録” をする手もあります。)
ここまで考えて わかったのは、適切な読み方は使われる時の状況による ということです。
実にハイコンテクストで日本らしい。
おしまい。
「きいた」という読み方が気に入らないがために書き始めた記事でしたが、最後までお読みいただき、ありがとうございます。
以上、この情報がお役に立てれば幸いです。